2021/01/27

オーダー品「犬と藤の絵」制作過程紹介

先日ブログにアップしましたオーダー品「犬と藤の絵」の制作過程を紹介します。

描き進めて絵が変わっていく様子を楽しんで頂けますと幸いです。
また、色鉛筆で描いている方の参考にもなりましたら嬉しいです!


①エスキース(下絵)
まずは、お客様と完成イメージを共有するため下絵を描きます。
最初は「藤とペットの犬を組み合わせて欲しい」以外は具体的な指定が無かったので、電話での打ち合わせを行い、どんな絵を希望しているか聞き取りを行いました。

1匹は躍動感のあるポーズ、ファンタジー感、暖かい雰囲気などの言葉があったので、そこから設定や構図を考え、エスキースを描きました。

②鉛筆での下描き
エスキース確認後の修正点を反映させて、鉛筆で下図を描きます。
今回は、犬の特徴が合っているかどうか、この時点で一度お客様にご確認頂きました。

③色鉛筆での下描き
鉛筆の線を消しながら色鉛筆で色分けし、なぞっていきます。
前工程での確認の修正点を反映し、犬の体形や模様の大きさなど調整しました。


④色鉛筆での描写 1
まずは、藤など色の濃い部分から描いていきます。
最終の色をイメージしながら、1~2層目は少し濃いめの色や強い補色を使っていきます。

⑤色鉛筆での描写 2
2~3層塗ったくらいで一度全体のバランスを確認します。
陰影は補色を積極的に使い、彩度を下げるようにします。
ここまで描き終わった時点で、色をなじませるため一度テレピンで全体を叩きます。


⑥色鉛筆での描写 3
さらに色を重ねてどんどん濃くしていきます。
少しずつ細部の描写や、明るい部分・色が薄い部分の描写も進めて行きます。
ここまで描き終わった時点で、さらにテレピンで全体を叩きます。


⑦色鉛筆での描写 4
だいぶ色が深くなってきました。
最後に出したい色から逆算して、ここからどう色を重ねてフィニッシュするか一度計画を立てます。
この段階に来るとあまり強い補色は使えないので、補色を使う場合は慎重に色を選びます。

⑧色鉛筆での描写 5+最終確認
犬の白が目立つように全体の色を調整します。
また、大幅な修正はできませんが最終確認としてお客様にも最終チェックをして頂きます。
お客様のOKが出れば完成です!


今回のご依頼では、もう亡くなってしまったワンちゃんという事で、あまり鮮明な写真がありませんでした。
なので、エスキースや鉛筆での下描き段階で、体形や体の模様の大きさ・位置などの確認を念入りに行いました。

写真通りに描くという訳ではないので、最後まで似ているか心配でしたが、ご依頼の方からは「似ている」との感想を頂けたので良かったです!

また、おまけとしてもう少し細かく工程を刻んだコマ撮り動画も作りましたので、よろしければこちらも是非ご覧下さい。

※動画が表示されない場合はお手数ですが、こちらからご覧下さい。
○制作過程動画

2021/01/12

個展「葉っぱのプリズム」展示のご報告

昨年11月に個展を終えてから、あれやこれやとバタバタしていたらあっという間に年を超えてしまいました。
少し時間が経ってしまいましたが、個展の様子をホームページにまとめましたのでご紹介します。
まとめのテキストは本ブログにも転載しますが、写真など詳細はリンク先をご覧頂ければと思います。



<展示を終えて>

個展「葉っぱのプリズム」にご来場頂きました皆様、誠にありがとうございました。

このような状況の中でも多くの方にご来場頂き、大変嬉しい時間が過ごせました。

展示を終えて感じた事・考えた事を振り返ってみたいと思います。

 

まず、今回の個展は本来20205月開催予定でしたが、緊急事態宣言発出により延期を余儀なくされ、10月の開催となりました。

多くのイベントが中止となる中でも延期という形できちんと開催させて下さり、会場の「はいいろオオカミ+花屋西別府商店」さんにはとても良くして頂きました。

また、冒頭にも書きましたがコロナウイルス感染拡大が終息しない中、観に来て下さった方にも本当に感謝しております。

この場をお借りして御礼申し上げます。

多くの方に実際の作品をご覧頂ける事、会場でお客様とお話しできる事がとてもありがたい機会なのだと改めて実感しました。

 

また、展示が延期となり5ヶ月の空白期間が出来たので、その間にできた事もありました。

会場のオーナーさんからの提案を受けてのコラボ商品共同制作です。

「小さなプリズム」と名付けたこの作品は、オーナーさんが作った「鏡が入っている箱」に、自分の絵をセットした物です。

箱を開くと自分の絵が鏡に写り、図像がダブルイメージに。

 

絵画とは開かれた窓である。とは昔から言われていますが、「窓に見立てたフレームから見える虚像=絵画」が鏡に写る事で、さらなる虚像としてもうひとつ複製される。という構造はとても面白いと思います。

また、多くの場合触れる事を禁じられている絵画作品が、箱に入っているので直接持つ事ができるというのも、絵画の在り方として大変気に入りました。

自分だけの考えでは、このような作品を作ろうとは思わなかったので、今回このコラボ商品を制作できとても良かったです。

 

その他、箱以外の絵画作品もお花や古道具が並べられた会場の様子に合わせてモチーフを選び、場の雰囲気と合うように意識して作品制作を行いました。

実際に作品を配置してみても、お店の雰囲気と調和していて、狙った事が実現できたのではないかと思います。

 

一方で、展示が終わった今振り返ってみると、そんなになじんでしまって良いのかという考えも同時に浮かんできています。

会場のお店に並べられたお花や古道具と自分の作品は、もっと商品VSファインアートとして対立して見えても良かったのではないかとも感じています。

調和が取れすぎる事で、自分の作品がお店のインテリアとなり、作品の主張が弱く見えてしまうような事態が起きていたのかも知れない。ある程度商品と作品との摩擦が起きても良かったのではないか。そこから生まれてくる新たな作品の見え方やお店の空間の変化という事もあったのではないかという反省も生まれました。

 

今回狙った「会場の雰囲気に合わせた作品制作」は、一定の効果を上げられたと考えていますが、自分の作品の主張と展示空間への意識、そのバランスや調和については今後も改善が必要と感じました。

とはいえ、今回の反省もやってみなければ分からなかったので、展示の度にあっちに振れたりこっちに振れたりしながら、その度に考え、そこからまた新たな良いものが生まれるよう1つずつ作品を積み上げていこうと思います。

2021/01/01

2021年あけましておめでとうございます

新年あけましておめでとうございます。

昨年は本ブログをご覧頂き、誠にありがとうございました。

今年は、干支の牛をモチーフにして色鉛筆で描きました。
土人形や張り子などで作られる民芸品「俵牛」をモデルに制作しました。
五穀豊穣や無病息災の願いを託すそうです。
昨年はコロナでなかなか大変な1年だったので、今年は少しでも穏やかに過ごせたらと願い描いてみました。

さて、2021年はほぼ既作の出品になりますが、春に個展があります!
また、オーダー品の制作や作品描き溜め、さらに公募展挑戦や横山商店の商品もいくつか増やしたいとやりたい事が満載です!
2021年もめまぐるしい年になりそうですが、コツコツ自分のペースで頑張っていきたいと思います。

皆様にとっても良い1年になりますように。
本年もどうぞよろしくお願い致します!